Enzo Ferrari Last Obsession Takes Shape

エンツォ・フェラーリの最後の執念

たとえ車に詳しくなくても「フェラーリ」と聞いて、知らない者はいないだろう。そのフェラーリの最初にして最後の“最高峰”がF40(イタリア語でeffequaranta/エッフェクアランタ)だ。
フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリが晩年、生涯の最後に創立40周年を記念してアニバーサリー・モデルとして開発。「そのままレースに出ることができる市販車」として1997年にデビュー/「そのままレースに出ることができる市販車」という理念は、フェラーリの車作りの根本であり、発売翌年に亡くなった、エンツォが最後の執念で形にしたのがF40なのだ。
そして、ここで紹介するF40は、ただのF40ではない。ル・マン24時間レース仕様に改められたスペシャルバージョン・F40“LM”だ。
1989年のル・マンに出場するために、フェラーリが認めている有名なプライベーター、ミケロットが過去に6台のみチューニングし製作。すべては当時のGTチャンピオンシップに勝つためだけに特別に生産されたモデルなのだ。
 イタリア屈指のカロッツェリア、ピニンファリーナが担当したF40のスタイルは、レーシングカーそのものだが、さらに、このLM仕様では、リトラクタブルライトは埋め込み式、丸形4灯式に固定化され、エアダクト、可変式リアスポイラーを装備。地をはうような曲線を持つボディ、そして、きわどくバランシングされたフェイスがバックミラーに写った瞬間、誰もが道をゆずることとなる。

固定式丸形4灯ヘッドライト、ボンネットに開けられた大きなエアダクトが“LM”の証だ。
車体の基本構成は、まさにフェラーリ製レーシングカーそのもの。
パワートレインは、レース用に開発された90度V8DOHC32バルブ、2,936ccに、二つのインタークーラー式ターボで武装。さらに、この“LM”では、タービン、およびインタークーラの大型化。そしてブースト圧が引き上げられ、オリジナルF40の最高出力484PSから、780PSに。最高速度も324km/hから381km/hになり、それは、まさにリアル・レーシングカー。聖域にまで足を踏み入れることになった。
イグニッションキーをひねると、荒々しく、そして芸術的なフェラーリ・サウンドとともに、一瞬にして、相当の“じゃじゃ馬”であることを認識させられる。
ステアリングにもブレーキにもパワーアシストがなく、クラッチはただただ重い。リクライニングもできないシートに座ると、それは、まさにレーシングカーそのもの。快適とは対局に位置するコックピットだ。

Artwork in Another Dimension - It May be Simply Illusion

異次元の芸術作品、それは幻覚なのかもしれない…

圧倒的なテクニックを要するメカニズム。
なぜ、エンツォは、生涯の最後にこのマシンを作ったのだろうか? この、選ばれた者しか手にすることができない、許されたものしかドライブすることができない孤高のスーパーカーがF40だ。そして、その孤高のスーパーカーをさらに聖域まで高めてしまったマシン・F40 LM。
マシンを所有するという喜び、ドライブするという喜び…決して、ほかのマシンでは得ることができない“至高の喜び”を、このF40 LMは与えてくれる。たとえ、このマシンを街中で見かけても、誰もが現実とは思わないだろう。その存在が幻覚のように思えてしまうだろう。
そんな、異次元の芸術作品がF40 LMなのだ。
Special Thanks : BINGO Sports tel.03-5511-7722
スーパーカー世代と言われる大人たちが少年だったころの憧れ。あのフェラーリの、最新鋭モデルF40。このマシンのレーシング・モデルがこそが“F40LM”。各所に追加されたエアダクト、大型のフロントスポイラー、F1マシンゆずりの大型ディフューザー…ベースモデルと歴然とした違いを出したエクステリアは、圧倒的迫力と美しさをあわせ持つ。あまりにも浮世離れしたこのマシン。この異次元の芸術品をドライブできる選ばれし者は、世界に数人だけだ。
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