こうして生み出されるパガーニ「ウアイラ」。その実力はいかばかりなのだろう。どんな走りを見せてくれるのだろう。ミッドシップに据えられたAMGのマッチョなパワートレーン、機能美の極致を見せる足回り。想像はかきたてられるばかりだ。
「知りたいか? なら、乗ってみればすぐに判るさ」
試乗用のウアイラに同乗させてくれるという。ステアリングを握るダビデ氏の隣に乗り込むと、ゆっくりと公道へ出ていく。意外にも、低速時の音と振動はほとんど気にならない。だが広い道に出て、ダビデ氏がアクセルを踏み込んだとたん、世界が一変する。
全身がシートに「グッ」と沈み込み、強烈なGとともに一気に加速する。背後のエンジンは野性を取り戻したかのごとく甲高い雄叫びを上げ、フロントの可動フラップがひんぱんに作動する。
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スピードメーターはすでに…あり得ない数字を指しているのだが、タイヤとシャーシを通して路面のグリップが全身に伝わり、図太いトルクがとてつもない勢いで車体を前へ前へと力強く蹴り出していくのが判る。不安はまったくない。遠い風景が一瞬で眼前に引き寄せられ、次の瞬間にははるか後方へと飛び去っていく。自分の手の中で、世界が回っている…そんな感覚だ。永遠と思われるほど長く続く、エキサイティングな一瞬である。
平然とドライビングを楽しむダビデ氏、ニヤリと笑って「Enjoy?」興奮ぎみに「Yes!」と返すと、車はさらに速度を増していった。
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