服というものは顔や髪型と同様、もっとも他人の目に触れやすいものだ。風雨や寒さから体を守るという本来の機能はもちろん、個人の趣味や好みを表現する、ひとつの手段でもある。そうしたこともあって、ファッションに関する逸話というのはそれこそ枚挙にいとまがない。
テレビで人気を博したある司会者は、細身のジャケットがトレードマークだったが、その衣裳はすべて自前で、しかもテーラーメイド。自宅には300着を越えるストックを持っていたという。彼にとっては服は機能性第一。体の動きを妨げず、どんなポーズをとっても着崩れしないというのが必須だったのだろう。
またある精神科医は、仕事中はいつもナチュラルカラーの、おとなしい見た目の服を着た。
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これは患者を刺激しないための配慮であったが、そのかわり外から目につかない肌着だけは、赤やオレンジなどの派手な原色のものを身につけていたそうだ。職業柄、精神的に消耗することが多いため、それを補う意味で元気の出る色物を身につけるのだという。
少々「都市伝説」めいた話で、どこまで本当なのかは定かではない。だが服というものが周囲の人々に与える印象や、着ている本人に及ぼす影響を考えれば、あながち的外れな話ではないように思える。
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