Dubai - City That Grows Wider, Bigger, Higher

より広く、大きく、そして高く。それがドバイ

世界中の景勝地では、小型機による遊覧飛行サービスが行われている。広大なアフリカのサバンナ、真珠のような南洋の島々。さらにはエベレストをはじめとするヒマラヤの名峰を巡るマウンテンフライトや、大都会の夜景を空から楽しむナイトクルーズというものもあり、それぞれに根強い人気を保っていると聞く。 そしてドバイにおいても、その全貌を空から眺めることのできる遊覧飛行サービスがいくつかあり、世界各国からの観光客から人気を集めているという。
貿易・金融センターとして中東屈指の繁栄を誇り、今もなお開発が進むドバイの、空からの眺めはどのようなものだろうか。そんな興味とともに、フライトに参加してみることにした。

離陸直後、海岸線に沿って飛ぶ機内からは、ビーチに遊ぶ人々が小さく見える。
フライトを運営する「Seawings」のオフィスに出向き、もろもろの手続きを済ませ、渚に浮かぶ水上機に乗り込む。パイロットを含めて10人乗りの小型機である。
エンジンを始動して滑走を始める。水面からの振動が激しく伝わってくるが、少しするとその振動がフッと消え、機体が空に浮かんだことが判る。それからは海沿いを悠々と飛び、紺碧のペルシャ湾沿岸の風景を空から見せてくれる。
ヤシをかたどった人工島に悠然と建つアトランティス・ザ・パーム。純白の帆を上げたように見えるブルジュ・アル・アラブ。しばらくすると人工群島「ザ・ワールド」が目に入る。
その後は大きく旋回して陸側へ。少しもやがかかっているのか、立ち並ぶ高層建築群がシルエットのように見えるが、その中でバルジュ・ハリファが群を抜く高さでそびえ立っている。すべてのものが、けた違いのスケールで迫ってくる。

Human Power That Makes Dream Come True

望んだ未来を掴み取る、人間たちのパワー

人工島「パーム・ジュメイラ」、陽の光に輝く「ブルジュ・アル・アラブ」…。その巨大さは、とても写真だけで伝えることができない。
世界中の、おそらくどこへ行っても「空からの眺め」には不思議な魅力がある。人や車が豆粒よりも小さくなり、巨大なビルも小さな煉瓦のかけら程度にしか見えなくなる。その代わり起伏に富んだ地形が、手に取るようにはっきりと見えてくる。深みのある海の色、豊かな森の緑、剣のように天を指す山の頂。ダイナミックな地球の息吹を目の当たりにし、その美しさに引き込まれてゆく。
だがドバイの空の印象は少し違う。自然の造形の妙よりも、そこに住む人間たちの圧倒的なパワーを感じるのだ。
美しい海に巨大な人工島を築く。砂の平野に道を拓き、大地を固め、天に届くほどの塔を建て並べてゆく。それら高層ビル群のすぐ近くでは、新たなビルの建築がいたるところで行われている。そうすることこそが繁栄へとつながる道だと、信じて疑わないかのように。
原油だけに依存せず、産業の多角化に成功し中東屈指の繁栄を手にしたドバイ。常に高みを目指すエネルギーこそが、その活力源なのかもしれない。
ドバイと隣国アブダビを拠点に、レジャーフライトを提供するシーウイング社。機体は水上機仕様のセスナ208キャラバンで、小型機ながら飛行中の安定感はなかなか。40分ほどの空の旅が、あっという間の出来事のように感じる。
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