Admire Exceptional Specifications, Performance

常識を越えたオーバースペック

冒頭から種明かしをしてしまおう。今回のテーマは車である。それも、並大抵の車ではない。「ブガッティ・ヴェイロン 16.4 Grand Sports」。しかもこの個体はジュネーブモーターショーで展示用に使われた世界でただ一台のショーカーそのものである。
車好きの方ならば言わずもがなのことではあろうが、まずはこの車のスペックを見ていただきたい。
エンジンは8リッターW16。これはアメリカのマッチョカーでおなじみのV8エンジンを二機合体させた形。これにターボチャージャーを4連装。
そのパワーは公称で1001馬力、同じく最高速度は407km/h。停止状態から一気に加速して100km/hまで2.6秒、8秒あれば200km/hを楽々超えるというモンスターだ。もちろんレースカーではない。一般に購入できる、市販車である。
…市販車ではあるが、並の「高級車」とは全くレベルが違う。そのモンスターぶりにふさわしく、プライスも史上最高だ。

フロントグリルの形状にブガッティのアイデンティティを漂わす。
時速400km/h以上で疾走する車…それだけで、すでに尋常ではない。だが「オーバー400」の世界を実現するために、ヴェイロンの開発スタッフは飛行機の専門家が半分以上を占めたという。通常の設計開発ではありえない布陣といえる。
また実際に最高速度にチャレンジするためには、加速・減速のための長大な直線コースが必要になるが、それとは別にブガッティでは事前にタイヤ及びホイールを新品に交換するよう、ユーザーに義務づけている。そもそもタイヤ自体がヴェイロンのために作られたミシュランの特製品で、日本で交換することはできない。
そのため通常のメンテナンスであるタイヤ交換ひとつとっても、ホイールごとフランスに送り、現地で交換したものを送り返すという手順を踏む。もちろん日数もかかるしコストは国産高級車が楽々買えるほどのものだが、オーナーはそれを覚悟しなければならない。
常軌を逸していると思われるかもしれないが、それはヴェイロンを「車」だと思うからなのだ。その生い立ちも含めて、「地を飛ぶ飛行機」なのだと考えれば、その破格の存在価値や必要なコストにもうなずけるというものだろう。

Enjoy Privilege, Pave Way for Future

破格のパワーこそが新たな世界を切り拓く

オーバースペックかもしれない。あるいは必要のない、無意味な贅沢かもしれない。だがそうした「破格のパワー」は多くの場合、現状を打破し、新たな世界を切り拓く原動力となる。それまでの世界から脱却し、まったく新しい世界へと飛び出すための力となるのだ。
そうした「力」に対して、私たちは誰もが潜在的な憧れを抱いてきた。今以上の幸せ、今日以上に満ち足りた明日を手にするための力として。それを否定してしまっては、今いる場所から先に進むことができなくなってしまう。
この世界には、一見して「無駄」なもの、あるいは「そこまで必要ないだろう」と思えるものが、多数ある。
だがよくよく考えてみると、そうしたものの一つひとつにも、重要な存在意義は隠されているものだ。そしてそこから「新たな世界」への足がかりを得られるということも、少なからずあるのである。
「ブガッティ・ヴェイロン 16.4 Grand Sports」。そのアクセルペダルをひと踏みするだけで、異質な世界への扉が開く。これは車の姿をした「新世界への鍵」なのだろう。
Special Thanks : BINGO Sports tel.03-5511-7722
現在はフォルクスワーゲングループの傘下として活動するブガッティ・オトモビル。フラッグシップモデルであるヴェイロンは、購入にあたってメーカーの事前審査が必要という特異な存在である。
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