Polish Skills, Nature Sensitivity That Ensure Inspirational Character

技術に加え、磨かれた感性が人に感動を与える

パガーニ本社を訪れたその日、総帥であるオラチオ・パガーニ氏自身と直接話す機会が得られた。素材、設計、デザインからモデル製作に至るまで、全方位にわたる知識と技術、さらに芸術的なセンスを持ち「現代のダヴィンチ」と称されるオラチオ・パガーニ。彼はいったい、どのような感性を持つ人物なのだろうか。
北村:あなたは「科学と芸術」の融合という概念をお持ちだと聞きました。また、それがパガーニ社の哲学にもなっているとも聞き及んでいます。
オラチオ:それは私が若い頃に触れたダヴィンチの言葉そのものです。その言葉が私に今の道へと進む勇気を与えてくれました。
北村:私は美容整形という世界で仕事をしていますが、そこでも最新の優れた技術と、それ以上にアーティスティックな感性というものが、必要不可欠なものとして存在しています。
オラチオ:そう、感性こそ重要です。たとえばウアイラのシフトノブは単なるスイッチではなく、トランスミッションの脈動を生き生きと伝えてくれます。そのように作ったのです。そしてそこには感性に訴えるパッションがあります。
北村:単に機械的ではなく感性を揺さぶる何かが、人に感動を与える。それはテーマを問わず、あらゆることに共通した真理なのかもしれません。
Create Something No One Has Ever Done Before - Production with Pleasure

自らの手で、まだ見ぬものを生み出す喜び

対談中、面白いことがあった。彼が作った有名な限定モデルの話を私が切り出したとき、急に彼の口調から熱が失われた。つまりテンションが下がったのだ。
オヤ、と思った私の戸惑いを察したのだろう、彼は笑いながら、私に話してくれた。
オラチオ:すでにできあがったものには興味がないのですよ…それを作っている間は、それこそ寝食を忘れて没頭するのですが、完成したらそれは一つのゴールです。
その瞬間から、興味は「次のゴール」へ移ってしまうのです。
北村:パガーニ社では、新しい技術やアイデアを形にするとき、必ずあなた自身がリーダーとなって陣頭指揮を執るそうですが、そこには、そうした理由があったのですね。
オラチオ:すでに完成されたものを作ることは、繰り返しに過ぎません。ですが常に新しいものを作っていくこと、たとえわずかでも一歩ずつ前進していくことが私にとっては大きな喜びであり幸福なのです。スィニョーラ・キタムラ、あなたのお仕事でも同じなのではありませんか?
Enjoy Exciting Job of Creation

創造というエキサイティングな仕事

美容整形の手術は、一般には「同じことの繰り返し」に見られがちかもしれない。だが執刀する医師からすれば、同じ手術というものは二つとない。
私には、彼の言わんとするところがよく理解できた。
北村:まったくその通りです。もう20年以上もこの仕事を続けていますが、毎日が新しく、発見や創造に満ちています。そうした前進があるから、これだけ長く続けてこられたのだろうとも思っています。
オラチオ:やはりそうですか。創造や挑戦はいつもエキサイティングなものだ。それを日々実感できるわれわれは、幸福な男たちなのかもしれませんね。
北村:ですが自動車はメカニカルな世界です。あなたが作ったものを模倣しようとする者もいるのではありませんか?
オラチオ:私が作ったものはすでに過去のもの…「過去の私が作ったもの」です。真似したければすればいい。今日の私は昨日の私よりも一歩前進していますから、常に今まで以上のものを創り出す自信があります。ですから特許などで保護することには、あまり意味を感じていないのです。
北村:さすがは「現代のダヴィンチ」と呼ばれるあなたらしい。…こうしてお話をしていると、多くのインスピレーションを感じます。
オラチオ氏との対談は昼食を挟み、予定以上の長時間に及んだ。メカニズムやデザインの新たなアイデアやプランについて語るとき、彼は子どものように饒舌になり、熱い熱い情熱を放射する。エキサイティングなひとときを共に過ごしてくれたオラチオ氏に、この場を借りてあらためて感謝申し上げる。

※本項は、同行した記者による記録等により構成したものです。
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